Match maker
ともあれ、それなりの服を来て待ち合わせへ向かった。

20代前半までは自由恋愛をそれなりに楽しんで来たというのに

後半になると…

はぁ、最近は何もない。

ゼロのオススメ物件も全く。

リサーチだけなら500人…以上!

私の条件にマッチするなんて…

まぁない。

無かったんだから、今まで。

妥協だって、少しはした。

でも、無かったんだから。

だから、正直…

期待していなかった。

たった1人。たまたま思い付いたように決めたその場でマッチした人なんて。

こんなマッチングデーは本体を持っていかなければならない。

お茶缶のフタを持って出掛けた。

【あの方です。】

待ち合わせのレストランで一人座る男性の位置情報をゼロが示した。

テーブルの上に私のモノより少し大きなお茶缶のフタが置かれるのを確認して近づいた。

「失礼します…あの…」

「ああ、どうぞ。」

そう言って椅子を引いてくれる。

…来て、良かった。

そう思うほど…

“イケメン”だった。

「いいですか?それ。」

彼にそう言われ、私は彼に私のゼロを渡した。

彼は私のゼロを自分の0に重ねた。

蓋をするように。

こうして、重なるように女性用の0は男性に比べると少し小さい。

【マッチング開始】

ここから、私達はAIに成婚までサポートしてもらう。

勿論、NOも可能。

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