Match maker
「ご存知だったんですね。」

思わず、そう聞いた。

「何を?」

「私達の0から課せられた、成婚の“条件”です。」

「ああ、聞いたんだ。…難しいな。」

田中さんが、小さな声でそう言った。

暫く川をそのまま見ていた。

時折跳ねる、魚も。

「戻ろうか。」

田中さんがそう言って、また手を取ってくれる。

そのまま…と、思ったらすぐにまた離された。

初めて触れた手に恥ずかしくなり

次に触れた時には、すぐ離された事に微かな寂しさを覚えた。

そう言えば…どんな関係なのだろう私達は。

“付き合ってる”んだよね?

気持ちの比重が同じになれば結婚…

ならなければ?

ずっと…

ずっとこんな感じで行くのだろうか。

どこで…

再びベンチ座った田中さんに合わせて、私も横に座った。

出発しないのだろうか…

「気持ちの比重は、どこではかるのかな?」

ふと疑問に思い、そう聞いた。

【判断材料は色々ある。相手を見る目とか、脈拍とか、行動とか…発汗とか。まぁ、色々や。こっちで判断して、そんで、一緒になったと思ったら…(0)から言う。】

0がそう言った。

私が、彼に追い付いたら…

私の気持ちが…彼の気持ちに追い付いたら。

「それは、そうしないといけないのか?」

田中さんがそう聞いた。

そうしないと?

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