Match maker

【良かったですね。】

帰宅するなりゼロが言った。

「う、うん。」

【イケメンとのキッス。】

「ぶ！いや、ロードバイク！ロードバイク良かった、買おうかな、買おうかなーって。」

【Itozon最安値222200円。今からのご注文で、すぐに届きます。注文されますか？】

「いいお値段だな。いや、タンデムだから？」

タンデムということは…

二人必要ということで…

二人ということは…勿論…彼…と…

【実雅に相談されますか？】

「しません！考えます！お休み！」

【ブィッシュイーン】

田中さんは、あのロードバイクはレンタルしてくれた。

でも、買っちゃおうかなーと思うほどに…

…良かった。その、まぁ、良かった。

だけど、彼はロードバイクを持ってらっしゃるのならば、私も普通のロードバイクを買えば、これから二人で色々…お出掛けが出来るのではないか。

はっ、なんだかんだ…田中さんの事を考えている。私の気持ちは…バロメーターで表現するとどのくらいなのだろうか。自分で分からない。

だけど…

キス出来るって、結構なレベルじゃないか？

キスが嫌じゃない…

むしろ、嬉しい…

むしろ、自分から、したいと…

振り向くあの行動は…

浮かれていたと思う。

この日は…

彼の行動とか、キスとか、ああもう！最初から知っていたけど…物凄い格好いいこと、とか。