Match maker
「田中さんは?」

自分の中で答えがまとまらないまま、彼女から質問が投げ掛けられた。

「キス?」

「ありますよね?したことくらい。」

彼女も、興味がある。俺に。

だけど、“聞きたくない”とは思わないのだろうか。

落ち込まないのだろうか、俺のように…

「…まぁ。」

「キスが出来るって…やっぱり…」

「え?」

「キスが出来るって、やっぱり、特別なんだと思います。す、少なからず…好意というか…特に…その…」

俺がキスしたことがある。勿論、他の女性と。その事を聞いても彼女は特に、無反応だった。

特別?誰が?

「ごめん、よく…分からない。」

「キスをしたいと思うのは、少なからず相手の事を、す、好きなんだと思います!!」

「好き…?」

相手…

いつの、話だ。

「したいと…思いました。私は。」

そう言って、またロードバイクを漕ぎ始めた彼女に合わせ

俺も漕ぐ。

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