好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
7 兄弟
side黎
「わざわざ迎えか?」
「護衛の間違い」
影小路の家から少し離れた曲がり角で、足を停めた。
そこにいたのは弟だ。
架が後から来ていたことは承知していたので、特に驚くことはない。
真紅は気づいていなかったようだが……そういうところ、まだまだ未熟ということか。
「いいのか? 真紅、お前の言ったことに意味、ちゃんと理解してないぞ」
「……兄貴はわかってるって言いたい?」
「誠さんが仕えているのはあくまで影小路一族。それを、次代のお前が『真紅に仕える』って言ったら――とどのつまり、真紅を影小路の当主に推すと言ったようなもんだろ」
見遣ると、架は不敵な笑みを見せた。
「さすが。そういうことだよ」
「そんなことしてどうする。黒藤の出自があれとはいえ、正統後継者としてあるんだぞ?」
架が歩き出したので、俺は渋い顔で並んだ。