好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
「話した通りにならないっていうのは、若君、責任感は強いから、『御門と対等の小路』を維持されるおつもりはあるだろう。そしてそれを叶えるだけの力量もある。白桜さん大すきはどうしようもないけど、そこに流派に関わる問題を持ち込まれる人でもない。問題は、御門を超越してしまう小路を築かれる可能性があるから、だよ」
「黒藤が後を継げば、小路が御門を上回ると?」
「若君はまだ、総てお力を解放されてはいない。その状態で当代最強だの並ぶ者なしだの言われている。どちらかと言うと自流派への自尊心は、一度滅亡しかけた小路流の方が強い。御門が小路を眼中に入れていないってわけじゃないけど、御門は自分たちの地位を高みに置くことにこだわっていない。どれほど落ちぶれても、プライドは保つような性質がある。けど、小路は御門と対等、あるいは上回っていることにこだわる。――こだわっているから、若君がいつまでも正統後継者の地位を追われないんだ」
「…………」
それは俺にも、得心のいく説明だった。