好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

「無涯、か……」

「ああ……その点は兄貴と若君は一緒なのか」

ふと、今思いついたように言う弟に、俺は無言を返した。

桜城から出ても、名乗れるのは小埜姓だ。

小埜は小路十二家の一つ。俺が影小路の檻(おり)から出られるのは――出られたとしても、まだ先なのだろう。

しかし、恋うた真紅は反対に影小路に入り、そこの人間となった。

なんなんだ? 因縁でもあんのか?

真紅を襲った妖異――烏天狗に接触したのが黒藤ならば、奴らが二度と真紅に近づくことはないだろう。

………。

自分で護れなかったことは、悔しいが。

黒藤の力は――架はまだ実力ではないと言うが――俺も認めるところだ。

――黒藤も、俺と同じ混血の鬼人だ。

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