好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
激昂する紅緒様を、ママはなんでもない風に抑え込む。
……紅緒様が眠る前の二人は、これが日常だったのかな。ママ、大変だな……。
一瞬郷愁(きょうしゅう)に囚われたけど、すぐに自分へ向く眼差しに気づいた。
「あの、……ほ、ほとんどママに……って言うか私がママのお手伝いをしたくらいでしかないんだけど、……よかったら、どうぞ」
「? もらっていいのか?」
私が持って来た小さ目の紙袋を、黎は素直に受け取った。
「あ、味見はしてあるの。でも……口に合わなかったら、ごめん」
「………」
その言い方で、中身が何か気づいたようだ。