好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

「神の末席に名を連ねる。霊獣(れいじゅう)と呼ばれる場合もあるけど、こいつは神獣と呼ぶべき存在だ。涙雨、だから白は大丈夫なんだな?」

『ゆえ。母猫は、現世に生きたことでほぼ神気(しんき)を失うておる。じゃが、生まれたばかりの仔猫は、うまく保護すれば神獣として格をあげるじゃろうて。それには、陰陽師として出来ている若君と白のひ――若君の傍に在るのがよかろう。その猫たちは、ただの動物ではくくれぬ生き物じゃ』

……るうちゃんは口が軽いのか、また『白の姫君』って言いかけたよ。白ちゃんに殴られコースまっしぐらだよ。

「私じゃダメなの?」

私が問うと、るうちゃんはゆうるり首を横に振った。

『真紅嬢はまだ、陰陽師として不安定、神獣の面倒まで見切れんはずじゃ。仔猫の神獣とて、霊力がある。修行中の真紅嬢がそれにあてられては大変じゃ』

……残念ながら、この仔猫は私の傍には置いておけないようだ。

そっと、仔猫を舐める母猫の頭に手をかざした。感じる、波動。

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