好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
「ええっ、な、なんで? す、すきな人に逢える時間なんて貴重過ぎるよっ?」
「あー……真紅ちゃんはそういう子なんだ……」
「ゆ、百合緋ちゃん? どういう意味……? まさか世間的には毎日逢うのは逢い過ぎ……?」
家のことにいっぱいいっぱいで、ずーっと恋愛事から遠ざかっていたから、一般的な価値観というものはてんで知らない。
不安になってたずねると、百合緋ちゃんはバツが悪そうに目線を逸らした。
「真紅ちゃんと黎明のがいいんなら、いいと思うけど……」
「百合緋ちゃんは、そうじゃないんだ?」
重ねて問うと、百合緋ちゃんからあったのは「まあね」という虚ろな返事だった。
私が黙ったままでいると、俯き気味に少しずつ話し出した。