好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
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小路一派に属する寺の動物廟(びょう)に、三毛猫を葬ってもらった。

仔猫の白猫と黒猫は、その日のうちに白桜と黒藤のもとへもらわれていった。

三人で暮らす家が、急にがらんとしてしまった。

――夢を見た。誰かが私を向かえに来る夢だった。

黎? ママ? 私に向かって手を差し出した影。

私はその影が誰かを見ようとして――ふと、足元に柔らかいものがすり寄って来た。

驚いて下を見ると、三毛猫が私を見上げていた。

お母さん猫だ! すぐにそうわかって、声をあげようとした。

でも、名前をつけていなかったことを思いだす。

仔猫たちには名付けたけど……。

膝を折って、三毛猫を撫でた。

赤ちゃん猫みたいに柔らかい毛。

癒してくれる感じに、思わず顔もほころぶ。

口を動かした。でも何故か、音にはならなかった。

喉がおかしくなってしまったかと思ったけど、三毛猫は音にならなかった私の言葉を受け止めたかのように――ぴょんと私の肩に飛び乗って来た。

重さを感じなかった。

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