好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
だんだん頭がはっきりしてきた私は、布団の上に正座した。
おまけに、ともう一回目をこすった。
……やはり三毛猫がいた。
「……あなた……」
《影小路の巫女様より名前を賜(たまわ)りましたゆえ、守護霊、と相成ることが叶いました。この紅、巫女様のお傍に置いていただきたく参上致しました》
「べに……ひめ?」
夢の中で、私は三毛猫をそう呼ぼうとした。でも、音にはならなくて。
べにひめ――紅姫。
私が手を差し出すと、紅姫がその手に顔をこすりつけた。
《巫女様。もっと早く参上致すべきでした。至らぬ紅をおゆるしください》
「紅……虎ちゃんとこたちゃんのお母さん、だよね?」
《はい。紅は影小路と月御門と、巫女様をお繋ぎする役目を負っているはずでした。ですが紅の参上が遅く、巫女様には大変なご苦労とご心痛をおかけ致してしまいました》
申し訳なさそうに震える紅姫の声。「ううん」と首を横に振った。
「紅、ありがとう。私を見つけてくれたんだね」