好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

澪さんは、そのために。

「……澪さん、人が良すぎますよ。友達とその彼女のために、自分が嫌われ役になるって」

「そうかな。言ってることは結構腹の中で思ってることだよ? 俺の血は黒いらしいからね。腹黒より上かもよ?」

そう、冗談めかす澪さん。

それでもあたしは、いっそ損なくらい、いい人だと思う。

真紅と黎さんが手を繋いだら、立ちはだかる壁がある。

その前に、澪さんは踏み台になるつもりで真紅に接している。

これから真紅が受けるだろう中傷に、少しでも耐性をつけさせるため、折れないようにするため――黎さんとの未来を成就させるため、真紅を強くさせようとしている。

恋人に頼り切りにならず、自分の足元が揺らがない『お嬢さん』にするために。

……それを知っているからあたしも、澪さんが真紅にキツい態度をとったり厳しいことを言っても、憎み切れないでいた。

< 221 / 314 >

この作品をシェア

pagetop