好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
side黎
澪が盛大なため息をついていた。
小埜の家。
澪の部屋の襖が開いていて、澪が机に突っ伏しているのを見てしまった。
素通りした。
「おい待て薄情者」
地を這う様な声で呼ばれて、足を停める。
「なんだ。辛気臭い」
「お前俺にだけ非道すぎだろ! なんでお嬢さんこんな奴に!」
「なんだよ、いきなり。どんな情緒不安定だ」
澪の様子がおかしく、いつもより絡んでくる。何かあったのか。
このまま通りすぎたらまた文句を言われそうだったから、襖に背を預ける。
「明日からのことか? 病院でなんかあったか?」
「……梨実さんにフラれた」