好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

実際のところ俺も、なんで真紅が自分を好きになってくれたか、なんてわからない。

確かに最初に命を助けはしたけど、あのときの真紅は俺を欲していたと言うよりは、自分の命を肯定してくれる誰かを探していたように感じた。

真紅にも言った通り、真紅の中に送った俺の血の所為で、真紅が自分に対して恋悪感情を錯覚していたのも確かなはず。

でも真紅は、錯覚で終わらせなかった。本当の感情にしてしまった。

だから、今がある。

……もし助けたのが俺でなかったら、真紅は誰を望んでいたのだろう。

それこそ結果論だが、真紅を見つけ、助けたのは俺だ。

……真紅が好きになってくれた理由は、知らない。

知りたいとは思う。でも、知るのが怖いとも思う。

もし、『助けてくれたから』、と言われたら、それは俺しか駄目だという理由ではないと思えてしまう。

俺は真紅しか駄目だというのに。

……女々しいな、今日の自分は。

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