好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

一度首を横に振った。

「なんでもない。梨実の話だろう?」

「どうすればいいと思う?」

……澪は本気で相談モードのようだ。

知るかと返してもいいけど、それでは確かに薄情者だ。

何より梨実は、真紅が『理由』になるほど大事にしている友達。

勝手にしろなんて言える相手ではない。

「フラれたって、言うようには俺には聞こえないんだが」

「……そうか?」

澪は眉を寄せる。

「からかうな、って怒られたんだろ? 母親の目の前だったからとか、お前が本気で言ってるって取ってもらえなかったんじゃないのか?」

「………」

澪はその場面でも思い出すように、中空を見つめた。

< 237 / 314 >

この作品をシェア

pagetop