好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

確かに、と俺も思う。
 
梨実に対して誠実を貫くなら澪は、その関係になる前提の気持ちも伝えるべきだっただろう。

「………」

……だが人のこと、言えない。

俺と真紅の馴れ初めも特殊だから、告白の上に付き合い始めたわけではない。

もっと言うなら、『いつから付き合っている』とはっきりと言えない……。

そんな関係で始まったから、真紅から『好き』の一言をもらえたときは舞い上がるほど嬉しかった。

真紅に対して誠実でいたいから、言葉を欠いてはいけないのだと自分に言い聞かせる。

「……明日、海雨ちゃんに――
「明日から別の病院で実習」

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