好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

「………」

真紅の覚悟を、自分は邪険に出来るか? 出来るわけがない。

真紅の生き様にも惚れている。真紅の全てに惚れこんでいる。

「一つ、簡単な方法がある」

「………」

「お嬢さんを影小路から攫(さら)ってしまえばいい」

「―――――」

「どこか、影小路の関係しない場所で、二人だけで生きていけばいい。そうなればお嬢さんは、陰陽師として生きていくこともないし、お前に頼ることも甘えることも出来る。お前の父親が、母親を国から連れ出したように。――簡単だろ?」

挑発的な澪の言葉に、渋面を作る。

「……それは出来ない」

< 262 / 314 >

この作品をシェア

pagetop