好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

「真紅、どこか行きたいところあるか?」

「えっ……と、……」

急に言われて、すぐには思いつかなかった。

黎と二人きりなんて、想像の先すぎて。

「えーと……」

私が唸っていると、黎はその様子を見てくすりと笑った。

「急でびっくりだよな。どこか入って、それから考えるか?」

「う、うんっ」

黎の提案に、大きく肯いた。

駅前の通りにある喫茶店に入ることにした。

「真紅は……そう言えば、鳥はいつも一緒なのか?」

テラス席に向かい合って座ると、黎が私の肩口を見ながら言った。

……なんで黎はるうちゃんのこと『鳥』って呼ぶんだろう。

< 52 / 314 >

この作品をシェア

pagetop