好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
黎の哀愁を帯びた眼差しに、俄然気になってしまう。
どんな人たちなんだろう。
黎のお父さんとお母さんに、架くんのお母さんか……。
私には、父親の記憶はない。物心がつく前にいなくなってしまったから。
だから、血縁上の父親を『お父さん』なんて呼ぶ気はないし、特に逢いたいとも思わない。
うーん……やっぱり、いまいちわからないなあ。
『親の感覚』というものは、考えても摑みにくい。
「そんな親だし、縁切りもしているけど……いずれは真紅にも逢ってもらいたいと、思うんだが……」
黎の声が小さくなっていく。よくよく見れば、耳が少し紅い。か、かわいい……。
いつも私を引っ張ってくれる黎だから、その様が幼く見えて胸をつかれた。