好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
5 ご挨拶
side真紅
誠さんに誘(いざな)われたのは、客間だった。
黎の隣に座って、机を挟んだ正面に誠さんと美愛さん、美愛さんの隣に弥生さん、そして少し離れて架くんがいる。
「黎から総て聞いているそうだね?」
藪から棒に、誠さんはそう問うてきた。
「はい」
答えながら、そっと架くんの様子を窺う。
すべて、とは、架くんの父親のこともさしているのだろう。
案の定、そのことを知らないという架くんは、特に動揺した態度も示さなかった。
「その上で、黎と交際されると?」
「黎さんの生い立ちは、今の私には関係ありません。それより……黎さんは、私の命を助けてくれた人なんです」