好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
「命?」
「始祖の転生として覚醒する前に、私の存在に気づいた妖異に襲われたんです。それを助けてくれたのが、黎さんでした。そして、黎さんが吸血鬼でなかったら、私はそのまま死んでいました。……もしも影小路本家の方々に反対されたら、私は影小路を出ます。そして、黎さんと一緒に居る方を選びます」
私が決めていたことだ。誠さんは、考え込むように重心を後ろに下げた。
「……真紅嬢が、黎が家を出ると言った理由だったか……」
机の下に隠れている、私が膝の上で重ねた両手を、黎の左手が覆った。
反射的に見上げると、黎は真っ直ぐご両親の方を見ていた。