好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
「おはようございます、紅緒様。すみません。どうしても真紅に逢わないと落ち着かないもので」
「おはようございます! それはとってもわかります! でもさりげなく真紅の手を握っているんじゃない!」
礼儀には礼儀をもって返す主義の紅緒様らしい挨拶だけど、握った手は隠していても見つかった。
私と黎の後ろに隠れた、繋がれた手。
「紅緒、朝から叫ばないの。真紅ちゃん、お台所に置いたままだったわよ?」
「あっ、そうだった。黎……ちょっと、待っててもらえる?」
黎に牙を剥く妹を押さえて、ママが言った。
弾かれたように肯いて、小走りで家の中に戻る。
でも小さな造りだから、玄関先の声も聞こえて来た。
「桜城黎」