エリート外科医といいなり婚前同居
「綺麗だよ。誰にも見せたくないくらい」

クリスマスを一週間後に控えたある日。私は雅子といつもの発酵カフェを訪れていた。

会話のお供となる今日のスイーツは、私の方が塩麴クレープで、雅子は濃厚チーズケーキ。ドリンクは甘酒を使った温かいものにし、お喋りの前にホッとひと息ついてから本題へ。

実は礼央さんの婚約者のフリをすることになり、それが決まった日から、彼は以前に増して甘い言葉をかけてくること。

さらに、婚約者として振舞う練習と称して、キスやハグが日常的なスキンシップになりつつあることを報告した。

雅子は急展開に驚きつつも、安堵した様子で微笑んだ。

「そんなに毎日のようにいちゃいちゃして、未だにその先に行ってないってことは、お医者さんごっこの件は特に気にしなくてよさそうだね。っていうか絶対彼、千波のこと好きでしょ」

雅子に断言されると、思わずどきりとした。

実は先日、礼央さんに告白される夢を見たのだ。夢にしては妙に生々しくリアルで、交わしたキスの甘い感触まで覚えている。

その翌朝、目覚めたらなぜか彼のベッドの上で、彼は同じ部屋のデスクでうたた寝をしていた。

お酒に酔って眠ってしまった私の体調が心配だから、目が届くよう自分の部屋のベッドに寝かせ、その傍らで仕事をしていたのだそうだ。

あんな夢を見てしまったのは、おそらく彼の気配がすぐそばにあったからなのだろう。



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