エリート外科医といいなり婚前同居

……でも、所詮は夢の中での話。冷静に考えれば、礼央さんが私を好きだなんてあり得ない。

「もし本当に好きだったら、婚約者のフリをしてなんて頼まないで、恋人になるなりプロポーズするなり、直接的な行動に出ると思わない? 私のことを気に入ってくれているのはなんとなくわかるけど、恋心とはまた違うような気がするんだよね……」

そう説明すると、雅子は悩んだ顔でテーブルに頬杖を突く

「そっか……でも、ある男性から聞いたんだけどさ。男って基本不器用で言葉足らずで、そのくせ本能的だから体が先に動いちゃうこともあるらしいよ。だから暁さんも、本当は千波のことが好きなのに、自分の中で勝手に何かこじらせてるだけなんじゃないかなぁ」

「だ、誰に聞いたのそんなこと……」

思わず突っ込むと、雅子は「あ、やばっ」と言ってペロッと舌を出し、照れくさそうに微笑んだ。まさか、その反応は……。

「もしかして雅子、彼氏できたの!?」

「あはは、実はそうなんだ~。さっきのセリフはその人からの受け売り」

はにかみながらそう語る雅子からは、目には見えない幸せオーラが出ている気がした。
しかし全然知らなかったよ……。あの雅子が微生物以外に恋をしていたとは!


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