エリート外科医といいなり婚前同居
雅子ってば……すっかり恋する乙女になったと思ったら、それ通り越して急に大人の女性になっちゃったみたい。
男の人の体が欲しいなんて感情……私には想像もできない。
「そ、そっか……それは、私にはまだまだ縁のない世界だなぁ」
火照った頬を手のひらでパタパタと扇ぎながら、苦笑する。
「焦らなくても、千波にもそういう日が来るよ」
「そうかなぁ」
なんて、雅子の前では濁したけれど、彼女の話の前半部分には私にも思い当たるふしがあった。
近くにいてドキドキするのは日常茶飯事だし、たまにイレギュラーなオペが入ったりして礼央さんが夜帰らない日があると、心細くて寝つきが悪くなる。
そして翌朝帰ってきた彼の顔を見ると、ホッとして、それからまたドキドキして。
ああ……なんかそんなこと考えてたら、礼央さんの顔が見たくなってきたような……。
「千波、いま彼のこと考えてたでしょ」
ぼーっと宙を眺めていたら、雅子にずばり言い当てられる。
「か、考えてた……」
動揺しつつも正直に認めると、ニンマリ笑った雅子がしみじみ呟く
「私は千波、もう恋してると思うけどなぁ」
「えっ。……礼央さんに?」
「それ以外いないでしょ。実はこないだ会った時も私はそうじゃないかなって思ってたんだけど、今回はもっとわかりやすく顔に出てるから。まぁ、自分でもそのうち気づくわよ」