エリート外科医といいなり婚前同居

「……ダメ、ですか?」

段々心細くなってきた私がおそるおそる尋ねると、礼央さんはちらりと私を見て、それから観念したようにため息をついた。

「わかった。添い寝、ってことだよな?」

「……はい! いいんですか?」

「いいよ。たぶん、なんとかなる……はず」

後半部分はなぜか口ごもりながら、先に寝室へ向かっていく礼央さん。

断られなくてよかった……。一緒のベッドで眠れるなんて、今までで一番幸せかもしれない。

心の中でスキップしながら彼についていき、部屋に入ると先にベッドに入った彼が、私のために布団を半分捲ってくれた。

「おいで」

優しい掠れ声に誘われ、ドキドキしながら彼の隣に滑り込む。

布団をかけると、礼央さんの香りにふわっと包まれて、胸に甘酸っぱい想いがこみ上げた。

「礼央さん」

彼の方を向いて、呼びかける。天井を見ていた彼の瞳が、ゆっくり私に向けられる。

好きです……って、今言えたらいいのに。言ったらきっと困らせちゃうよね。せっかく同じベッドに入ることを許されたのに、追い出されるかもしれない。

伝えたいのに伝えられないもどかしさで、自然と瞳が潤んでくる。

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