エリート外科医といいなり婚前同居

礼央さんも黙って私を見つめていたけれど、その視線が次第に熱っぽく変化してきたのに気づく。

もしかして、礼央さんも同じ気持ちでいてくれてるの……?

私はつい、そんな甘い予感を胸に抱いてしまったけれど。

「ごめん、千波。後ろ向いてくれない?」

気まずそうな礼央さんにそう言われて、ふわふわとした幸福に浸っていた私は一気に現実に戻されたような気分だった。

どうして後ろを向けだなんていうの? まるで私の顔を見たくないみたい……。

「わかり、ました……」

沈んだ声で返事をして、反対側に寝返りを打った。

馬鹿だ、私……彼も同じ気持ちかもなんて、自惚れもいいところだよ。

礼央さんが私を好きになることなんてないって前からわかってるのに、何を期待していたんだろう。

私は泣きそうになったのを堪えるように、きゅっと下唇を噛みしめた。

しかし次の瞬間、背後で布が擦れる音がして、礼央さんの温もりが背中に触れる。同時に逞しい腕が体に絡められ、後ろを向いたままの私をぎゅっと抱きしめた。


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