エリート外科医といいなり婚前同居

当日は、礼央さんの運転する車でパーティーの時間に合わせて予約していた美容室に寄ってから、郊外にある会場のお宅へ向かった。

普段から買い物くらいなら一緒に行くことはあったけど、いつも徒歩圏内で済ませてしまうので、車でのお出かけは初めて。

お互いにフォーマルな服装をしているのも特別感があって、ドキドキしてしまう。

礼央さんは仕事の時には着ない明るいグレーのスーツに同系色のネクタイ、ブラックのシャツを合わせ、夜に映える大人っぽい雰囲気を醸し出していて、カッコよさが何割も増している。

出発時、そんな彼に当然のように助手席をすすめられ、ときめくなと言う方が無理だった。

パーティーなんか行かないで、このまま二人きりでいられたらいいのに……。胸の内で、思わずそんな願いを抱く。

礼央さんの方は特にいつもと変わらない様子だったけれど、助手席から真剣に運転する彼の横顔を独占できるだけでも私は幸せで、ドライブの間中ずっと夢心地だった。

しかし、そんな時間も永遠という訳にはいかなくて。
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