エリート外科医といいなり婚前同居
子どもの頃は、忙しい父に連れていってとは頼めなかった。中学から高校時代は、医学部を目指して勉強ひと筋だったから、行く暇がなかった。
医者への道を諦めた後は時間的余裕ならできたけど、積極的に誰かを誘って行こうと思うほどの気力はなくなっていて……。
それが、この歳になって初めて訪れることになるなんて。しかも、好きな人と一緒に。
遊園地に行くお楽しみは、神様が今日のためにわざと取っておいてくれたのかも、なんて。勝手にロマンチックな思いに浸りたくなってしまう。
「喜んでもらえてよかった。実は、サプライズはもうひとつあってさ」
礼央さんはそう話しながら駐車場に車を停め、エンジンを切って車内灯をつけた。そしてスーツの内ポケットから取り出した物を、私の前に差し出す。
上品な金のリボンが施された、黒く細長い箱……。え? これって、どう見ても……。
「これ、千波に。クリスマスプレゼント」
「えっ……。えええっ!?」