エリート外科医といいなり婚前同居

「こんなにたくさんのイルミネーションを見たの初めてです。歩いてるだけでも楽しい」

「だな。でも、千波は初めての遊園地だろ? なにか乗らなくていいの?」

「うーん、そうですね……」

入園口で手に入れたパンフレットを開き、しばらく悩む。

ドレスアップしていう今日の服装では絶叫系に乗る感じじゃないし、同じ理由でゴーカートやスカイサイクルも無理。この歳でメリーゴーランドやコーヒーカップに乗るのも照れるしなぁ……。

「あ」

その時目に留まったのは、園内でも最も存在感を放つ、巨大な観覧車だった。

これなら服装とか気にしなくていいけど……いや、でもな……。

「なに? いいのあった?」

声を上げた私に反応し、礼央さんが一緒にマップを覗き込んでくる。

その距離の近さにドキッとして、これくらいで動揺してしまうのに、観覧車に一緒に乗るなんて無理でしょうと思い知る。

「や、やっぱりいいです。歩いてるだけで」

「そう? せっかく来たのにもったいない。なら、俺が乗りたいのに付き合ってくれる?」

「はい。もちろん」


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