エリート外科医といいなり婚前同居
好きな人とこんなロマンチックな時を過ごせるなんて、今日の私は本当に幸せ者だ。イルミネーションも、礼央さんの隣にいられる幸せもじゅうぶん楽しんだ。
でも……そろそろ夢から醒めないと。これ以上のことを望んだら、本当に後戻りできなくなっちゃうから。
家政婦としてあなたのそばにいることすら、つらくなっちゃうから。
「礼央さん、今日は本当にありがとうございました。」
私は背筋を伸ばし、つとめて明るい声で向かい側の礼央さんにそう言った。
窓の外を眺めていた美しい横顔がこちらを向き、不思議そうに尋ねる。
「どうしたの、改まって」
「だって……プレゼントも頂いて、初めての遊園地に連れてきてもらって、最高のクリスマスを過ごさせてもらったんですもん。……本当はただの家政婦の、私なんかに」
後半部分を口に出すのはとても切なかったけれど、なんとか笑顔を貼り付ける。
そのぎこちなさに勘付いたのか、礼央さんが訝し気に眉を顰めた。
「千波、今日はやけに〝家政婦〟って言葉に引っかかるみたいだけど、やっぱり美乃梨さんとなにかあったんだろ。一体なにを言われたんだ?」
「それは……」