エリート外科医といいなり婚前同居
「礼央さん……それって」
決定的なひと言を期待して、ドキドキしながら言葉の続きを待っていたけれど。
「ちょっと喋りすぎたな。……続きはまた今度」
礼央さんは悪戯な笑みで、そうはぐらかした。
「ずるいです、礼央さん。途中でやめるなんて……」
「聞きたい? 続き」
「当たり前です……!」
ムキになる私に対し、礼央さんは余裕の笑み。年齢差だけでなく経験値の差を見せつけられているようで、切なくなる。
それでも駄々っ子のようにむくれることしかできない自分に嫌気がさして、私はとうとう俯いた。そんな私の耳に、どこか妖艶なハスキーボイスが響く。
「……わかった。教えてあげるから、顔上げて?」
言葉と同時に大きな手の平を頬に添えられ、強制的に上を向かされた瞬間だった。目を閉じた彼の顔が近づいてきたと思ったら、唇を奪われた。
「んっ……」
思わず身を引こうとした一瞬で、頬に置かれていた手が〝逃がさない〟というふうに後頭部に回る。もう片方の手で背中まで固定されてしまい、身動きができなくなった。
その間も繰り返されるキスは、ゆっくり、けれど確実に深く濃密になっていく。