エリート外科医といいなり婚前同居
「ちょっと聖人さん、命知らずってことはないでしょ? 別に毒じゃないんだから」
「そうだけど、実際飲むとなったら勇気いるぞあれは」
「ひどーい。今度の新しい試作品は、真っ先に聖人さんに飲ませますからね」
軽口を叩き合うふたりを眺めていると、ほほえましい気持ちになる。
冗談を言い合う中にも恋人ならではの親密な空気があるというか……やっぱり本気で愛し合ってるふたりは違うなぁっていうか。
……ん? 違うって、誰と比べて?
ふと頭の中に降って湧いた疑問に、胸がざわっと波立った。
……例えばだけど。私と礼央さんが一緒にいるところを客観的に見たら、雅子と聖人さんみたいな親密な空気が出ているのだろうか。
もちろん表面的にはカップルに見えるだろうけど、どこかおままごと感が抜けていないんじゃないだろうか。
私たちだって相思相愛のはずなのに、どうして……?
「じゃあな、雅子。また連絡する。千波さんも、ごゆっくり」
「行ってらっしゃい、お仕事頑張ってね」