エリート外科医といいなり婚前同居
拓斗くんは悪戯っぽく微笑んで、私の身長では届かない押入れの天袋に手を伸ばす。
別に、私の子どもの頃の姿なんか見ても面白くないと思うんだけどな……。やっぱり彼は私に興味があるってことなんだろうか。
だとしたら、数日とはいえふたりきりでこの家に住むっていう状況を、やっぱり意識しちゃうんですが……。
目の前の本棚を物色しつつ、妙な緊張を感じていたその時。
「あ、これとかそうじゃないですか?」
声を上げた拓斗くんの方を振り向くと、彼の手には見覚えのある花柄の表紙のアルバムが色違いで三冊あった。
「その表紙! そうそう、それだよ~! ありがとう!」
まさか天袋にあったなんて。私ひとりじゃいつまで経っても見つけられなかった。
さっそく畳の上に広げて、ページを開く。一冊目はほぼ赤ちゃん時代の写真で、自分で言うのもなんだけどまぁ可愛い写真ばかりだった。
「めっちゃ丸いですね。ほっぺとか超やわらかそう」
「ほんと、この頃が人生で一番太ってたかも」
くだらないことで拓斗くんと笑い合っていると、別のページには母の写った写真もあった。