エリート外科医といいなり婚前同居
妙に掠れて吐息が多く、弱々しい彼女の声音を心配しながら彼女を探す。
小さな広場なのでベンチに座るその姿はすぐに見つかり、ホッとしながら通話を切って駆け寄ったのだが。
『礼央さん……会えた。よかった、ずっと待って、て……』
「千波!」
俺の声に反応して一瞬笑顔を見せたものの、そのまま気を失うように前のめりに倒れ込んだ千波を、とっさに支えた。
体が熱い……かなりの高熱だ。それに『ずっと待ってて』って……もしかして、昼間俺に会いに来て、でもマンションには不在だったからってずっとここにいたのか?
まだ合鍵も持っていただろうに、俺に断らず家に上がるのは気が引けたのだろうか。
ハッとしてスマホの着信履歴を見ると、何度か千波からの連絡が入っていた。
病院ではあまり私用の携帯は見ないし、帰れることになった時間も遅かったから千波はとっくに帰っただろうと思い込んで特に確認しなかったが……きちんと見るべきだった。
「ごめん、千波……」
俺は熱で火照った体を優しく抱き上げて、彼女を介抱するためマンションへ入っていった。