エリート外科医といいなり婚前同居

私は再び彼のベッドに寝かせられ、礼央さんはデスクの椅子をそばに持ってきて座った。

そしてようやくゆっくり話せる環境が整ったところで、私はベッドの中から礼央さんを見上げて語り掛ける。

「あの、礼央さんはその……いつから私を? 出会った頃は子どもだったから、再会してからですよね?」

「ああ、そっか。千波は俺と紺野先生がメールのやり取りをしてたのを知らないのか」

「メール、ですか?」

きょとんとして聞き返すと、彼がデスクの上のパソコンを操作していくつかのメールを見せてくれた。

そのすべてに私の近況と写真が添えられていて、父の私に対する愛情深さが窺えた。

しかし同時に、時々あまり写りのよくない写真も平気で礼央さんに送られていて、ちょっとだけ父が恨めしくなる。

「俺はこのメールで、千波がどんなふうに成長して大人の女性に変わっていくのかをずっと見ていて。最初は年の離れた妹を可愛く思う兄のような気持ちだったけど……千波が高校を卒業した辺りの写真を見た頃だったかな。急に大人っぽく綺麗になった千波に、兄妹感覚とは別に会いたいなって気持ちが強くなった。で、帰国して実際会ったらもう、千波に惹かれていくのが止められなくて、それからはあっという間に恋に落ちたって感じかな」

「そ、そうだったんですか……」

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