エリート外科医といいなり婚前同居
自分で聞いておいたくせに、面と向かって恋の始まりを説明されるとすさまじい照れに襲われる。
しかも、気になりだしたのは私がまだ十代の頃なんて……礼央さんって意外と一途なんだ。そんなこと言われたら、もっと好きになってしまうよ。
ぽわんとそんなことを思いながら彼を見つめていたら、礼央さんが少し意地悪な顔で忠告する。
「熱に浮かされて潤んだ目でそんなに見るなよ。千波が病人だってこと忘れて、めちゃくちゃにしたくなるだろ」
冗談めかした口調ながらも瞳に宿る熱は本物で、私の鼓動が一気に加速する。
けれど同時に安心もしていた。礼央さんにとって自分はそういう対象になるんだって、改めて言ってもらえた気がして。
「あの、風邪が治った後なら……その、よろこんで」
布団で顔を半分隠しながらそう伝えると、礼央さんは一瞬面くらったような顔をした。
でも、それはすぐにSっ気の滲んだ妖艶な微笑に変わり、鋭く細められた瞳で彼が言い聞かせる
「……今の発言、やっぱり後で撤回、とか認めないからな?」
「は、はいっ」
激しく脈打つ心臓の音を全身で感じながらも、私はしっかりと頷いた。
初めてのことに対する怖さがないわけじゃない。でも、心から好きになった礼央さんが相手なら、大丈夫なはずだから。