エリート外科医といいなり婚前同居

大みそかの夜から元日にかけては、礼央さんの携帯に病院からの連絡が入ることもなくとても穏やかな時間だった。

年末恒例となっているテレビ番組をザッピングしながらちょっとしたご馳走を食べ、まったりと会話をしながら十二時を迎えて。

ふたり改まって「明けましておめでとうございます」と挨拶し合うと、なんだか気恥ずかしかったけれど、しみじみとした幸せを感じられた。

お互いにまぶたが重くなってきてそろそろ寝ようとなった時、私はどこで寝るのだろうと少々緊張していたのだけれど、それを察した礼央さんはこう言った。

「千波を抱きたいのは山々だけど、明日……いや今日か。お父さんにちゃんとご挨拶してからにしようかなと思ってる。一応、ケジメつけたくて」

「礼央さん……」

曖昧な関係だった家政婦時代も手を出されたことは一度もなかったし、彼は思っていたよりずっと真面目な人みたいだ。そういうところも、やっぱり好きだと思う。

これからもきっと色々な面を知るたび、彼への想いは深まっていくのだろう。

< 218 / 233 >

この作品をシェア

pagetop