エリート外科医といいなり婚前同居
それでも別々に寝るのはさすがに寂しくて、いつかのように添い寝をすることになった。
礼央さんの方を向いて横たわった私は、眠るまでずっと彼の顔を見つめていようと思っていたのだけれど。
「……千波。見すぎ」
なぜか片手で顔を覆った礼央さんに、見つめるのを拒否されてしまう。
「えっ。ダメですか?」
「ダメ。我慢できなくなる」
「我慢って?」
「……前にも言っただろ」
礼央さんはぶっきらぼうにそう言うと、バサッと布団を捲り私の上に覆いかぶさった。
その猛獣に襲い掛かられたような体勢になってやっと、私は彼の言う我慢の意味に気がつく。
そういえば前に添い寝したときも、顔を見たら襲いたくなるから後ろを向いているように言われたんだった……。
「ご、ごめんなさい……私、後ろ向いてますね」
しゅんとして謝ると、礼央さんはため息をついて元の位置に戻り、布団をかけ直した。
「いや。千波が謝ることじゃない。俺が自分を制御できないのが悪いんだ。でも、これだけはわかってほしいんだけど」