エリート外科医といいなり婚前同居
「ただの家政婦を、可愛がっちゃダメ?」
翌日は午前中にひとつの講義があるだけだったので、お昼を済ませてから荷造りをし、父の病院に顔を出してから暁さんのマンションに向かった。
彼は仕事で不在だけれど、合鍵で入ってさっそく部屋の掃除をしてほしいと頼まれている。
大きなキャリーバッグとともにマンションに到着すると、受付で手続きを済ませていざ三十五階の彼の部屋へ。
「お邪魔します……」
合鍵でロックを外し、相変わらず雑然とした玄関に足を踏み入れる。
家主の許可を得ているし、今は本人が部屋にいないとわかっていてもなんとなく緊張してしまう。
とりあえず、部屋に荷物を置かせてもらおう……。
昨日、帰る前に暁さんが教えてくれた空き部屋のドアを、私はそっと開けた。
十二畳ほど洋室はずっと使われていないのか、若干埃っぽくて殺風景な部屋だ。
家具は窓際にベッドがひとつ置かれているだけで収納が心配になったけれど、よく見てみれば、窓があるのと反対側の壁に広々としたウォークインクローゼットが備え付けられていた。
あとは掃除さえすれば、なかなか使い勝手がよさそうな部屋になりそうだ。