エリート外科医といいなり婚前同居

「おかえりなさい、千波ちゃん」

「おかえり千波。暁少年もいらっしゃい」

実家に着くと、少し見ない間にすっかり夫婦らしくなった父と白石さんに出迎えられた。

再婚の話を聞いた当初は、私の居場所がなくなるような気がして寂しく思う気持ちもあったけれど、いざ幸せそうなふたりを目にしたらそんなものは吹き飛んでしまい、ふたりを純粋に祝福する気持ちしかなかった。

「おー、さすが千波。これまたうまそうなおせち作ってきてくれたんだな」

「俺、味見しましたけど本当にうまいですよ。特にこの伊達巻き」

「わ~本格的ね。私、料理苦手だから今度教えてほしいわ」

「じゃあ今度レシピ書いて持ってきますね」

ダイニングテーブルにおせちを広げてワイワイそんな会話をしていると、リビングのドアが開いて拓斗くんが顔を出す。

その瞬間ばっちり目が合ってしまい、私は一瞬ためらったけれど意を決して彼の元へ歩み寄っていった。


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