エリート外科医といいなり婚前同居
「大丈夫だよ、痛くしないから」
翌朝。目覚ましで五時前に起きた私は、自分の身支度と朝食の準備を済ませ、ちょうど六時になるころに暁さんの寝室をノックした。
しかし寝ているであろう彼の返事はなく、そうっとドアを開けて部屋に足を踏み入れる。
「暁さん、入りますね」
小さめの声で言いながら、大きなベッドで眠る彼の元へ近づく。
身をかがめて寝顔を覗くと、起きている時はきりりと整った顔立ちがいつもより無防備に緩んでいて、年上の男性なのになんだか可愛らしかった。
……目を覚まされると、ちょっと厄介な人になっちゃうんだけどね。
「……さて」
優しく起こせ、というリクエストにどう応えるべきか。とりあえず、掛布団の上から肩のあたりを何度か揺すって声をかけてみる。
「暁さん。六時ですよ、起きてくださーい」
「ん……」
彼は小さく声を漏らして寝返りを打ったけど、その後また動かなくなってしまった。
どうやら寝起きが悪いというのは本当みたい。今朝はかなり冷えているから、布団を剥いでしまえば効果は抜群だと思うんだけど……そんな起こし方、優しくないよね。