エリート外科医といいなり婚前同居
「暁さん、起きないと病院に遅れますよ」
仕方がないので再度声をかけつつ、暁さんの体をぽんぽんと軽く叩く。小さく身じろぎした彼は薄っすらとまぶたを開け、ゆっくり瞬きしながら私の姿を確認した。
よかった、思ったより早く目を覚ましてくれた。
「おはようございます、暁さん」
「ん……おはよ」
のんびりした掠れ声で言って、まだ半分寝ぼけているように薄く目を開けた彼は妙に色っぽい。
別に同じベッドで一夜を共にしたとかそういう訳じゃないのに、暁さんのプライベートな表情を垣間見てしまったのが恥ずかしくて、私は彼から視線を外した。
「わ、私、朝食を温めてきますね」
早口でそう言って、ベッドから離れようとした瞬間だった。
ばさりと掛布団を捲る音がしたかと思うと、突然ベッドの方から伸びてきた彼の手に、腕を引っ張られた。
「きゃっ」
私は体勢を崩してベッドに倒れ込み、なにが起きたのかと目を白黒させている間に、彼の胸元にぎゅっと抱き寄せられてしまった。
全身が彼の温もりと香りに包まれ、心臓が早鐘を打つ。
えっ。なに? なんで私、抱きしめられてるの――!?