エリート外科医といいなり婚前同居
けれど結局は逆らえず、ゆっくり体の向きを変えた私は、おずおず視線を上げて彼の表情を窺う。
彼は一瞬目を見開き、それから優しく微笑むと小さくうなずいた。
「可愛い。似合ってるよ」
ストレートな褒め言葉に照れてしまい、ますます頬が火照りだす。
「ど、どうも……。あの、このエプロン、買うの恥ずかしくなかったですか?」
「恥ずかしい? なんで?」
暁さんは、心底不思議そうに首を傾げた。
「だって……店内は女性客ばかりだったでしょう? プレゼントとはいえ、男性が一人で来店してじっくり女性用のエプロンを選んでいたら、注目されただろうなって」
暁さんの場合、それ以上に麗しい容姿の方を注目されていたかもしれないけど……。
そんなことを思っていると、暁さんは意表をつかれたように固まって、それから気まずそうに口元を片手で覆うと、くぐもった声で呟いた。
「そこまで考えてなかったな。でも言われてみれば、注目されていたような気も……」
それきり黙り込んだ彼の頬が、じわじわ赤く染まった。