エリート外科医といいなり婚前同居
「ただいま~」
懐かしい思いに浸りつつ数日ぶりの我が家に帰ってみると、玄関に見慣れないスニーカーがあった。しかし、前回見た白石さんのものではない。サイズは大きく、男性用のものだ。
お父さん、新しいのを買ったのかな……? それにしては、若者向けのデザインのような気もするけど。
不思議に思っていると、リビングのドアが開いて父が顔を出した。
「おお千波、ちょうどよかった。お前に会わせたい人がいるんだ」
「会わせたい人……?」
やっぱりあのスニーカーは、父のじゃなかったのか。納得しながら父の後に続いてリビングに入ると、ソファに座っていた人物が振り向き、私を見て立ち上がった。
私より少し年下だろうか。細身の体形で、可愛らしい顔立ちの男性だ。
「初めまして、白石拓斗です」
はにかみながら挨拶をする彼に、私もぺこりとお辞儀をした。
「あ、初めまして、千波です。白石って……もしかして、白石さんの息子さん?」
私の問いに、父が答えた。
「ああ。年は千波よりはふたつ下だったかな? 今、俺の母校の医学部に通っているんだ」
「医学部! すごいんだね、拓斗くん」