エリート外科医といいなり婚前同居
「その先生から、クリスマスイブのホームパーティーに呼ばれているんだ。だから、その日までに、お互い婚約者として振舞う練習をしよう」
「れん、しゅう……?」
聞き返しながらも、ドキドキが止まらない。細められた暁さんの瞳がセクシーで、その妖艶な雰囲気にのまれてしまいそうで。
「そう。だから、これから俺はきみを千波って呼ぶ。千波も、俺を名前で呼んで?」
そんな、突然呼び方を変えるなんて恥ずかしいよ……。
押し寄せる照れくささに負けてパッと下を向いたら、まるでそれを許さないというかのように、彼の手が私の顎をくい、と引き上げた。
そうしてまた彼と視線が絡むと、もう観念するしかなくて。
「……礼央、さん」
蚊の鳴くような声で彼の名を呼んだ瞬間、長い睫毛を伏せた彼の顔が近づいてきた。
まさか、と思ったときには唇に柔らかい熱が押しつけられていて、私の呼吸が止まった。
うそ……キス、されてる……?
思考がショートして、身動きもできずにただ唇を固く引き結んでいると、一度唇を離した彼が、至近距離でふっと笑う。
「そんなに緊張したらダメだろ? 婚約者なのに」
「だ……だって……私、はじめてで……」