エリート外科医といいなり婚前同居
「……そろそろ、止めないと」
そう言いつつも、礼央さんは私の目が潤んでいるのを見つけると、再びたまらなくなったように口づける。
それが、幾度繰り返された頃だろう。ようやくキスを止めた彼は、最後に大きく息をつき、額にかかる前髪をかき上げて呟いた。
「危ない……理性を失うところだった」
「え……?」
私はキスの余韻でふわふわしていて、惚けた声で聞き返すことしかできない。
すると、礼央さんは私の唇を親指でなぞり、苦笑しながら言った。
「甘くて病みつきになる。千波の唇」
ドキン、と胸が鳴って、泣きたいわけでもないのに瞳が熱く潤んでくる。
どうしちゃったの、私……。礼央さんのキスに酔わされて、おかしくなっちゃったみたい……。
戸惑いが拭えないまま、ゆっくり体を起こして乱れた髪を撫でつけていると、すっかり冷静に戻ったらしい礼央さんがソファから立ち上がって言う。