エリート外科医といいなり婚前同居
「まぁ、一緒に暮らしててキス止まりとは、よく我慢してる方だとは思うけど」
「だろ? 風呂上がりの彼女とか見ると、ホント狂いそうになる。いつもちゃんと乾かさずに濡れ髪のままリビングに来て、俺と同じシャンプーの香りさせて、部屋着のショートパンツからは惜しげもなく綺麗な脚見せて……無防備すぎて参るよ」
はぁ、と大きなため息をついた俺を、橋本が面白がって笑う。
「さっさと告白してモノにしちまえばいいのに」
「いや……できれば先に、彼女に俺のこと思い出してほしいんだよな」
「無理だろ。彼女、その頃幼稚園児だったんだろ?」
橋本の問いに、俺は黙ってうなずく。でも……本当に無理なのだろうか。
遠い昔のことだから、忘れているのは仕方がないとしても、なにかのきっかけで思い出してくれやしないかと、期待してしまうんだ。
俺はやり場のない思いを抱えつつ、ソファに背中を預けて天井を仰ぐ。そんな俺の様子を見て「重症だな、これは」と橋本がつぶやいた時だった。
仮眠室の隅に置かれたベッドのカーテンがシャッと音を立てて開き、そこからまた別の同僚医師が顔を出した。