雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
2章 雨宮瑛士という男……。
〇雨宮のマンション(朝)
コンビニで買ってきたもので朝ごはんを作り、テーブルに並べる陽和。
雨宮はリビングのソファでタブレットPCを操作し何かを読みながら、電子タバコを吸っている。
Tシャツにスエットというラフな格好で膝を立てて座っているせいか、少し幼く見える。
陽和「社長、朝ごはんができました」
雨宮「あぁ」
陽和「珈琲はブラックでいいですか?」
雨宮「砂糖なしのミルク2つだ」
陽和「クロワッサンも買ってきました」
雨宮「軽く焼いてくれ。あと、サラダのドレッシングは和風・フレンチどっちでもいいが、10kcal以下のもの。スープはできるだけインスタントじゃないものがいい」
こだわり、強っ!!
陽和「かしこまりましたー」
雨宮「食べ終わったら出かけるから、着替えを用意してくれ。そのドアを出て、右奥の部屋にあるから適当に」
陽和「はい!」
雨宮「……なんだ?」
返事をしたものの、動かない陽和に雨宮は眉根をひそめる。
陽和「オムレツはお味はどうですか?」
雨宮「何も言わないということは、問題ないということだ。いちいちそんなことを聞くな、面倒くさい」
陽和「なっ」
そこまで言わなくても!
こだわりが強そうだから、聞いてあげたのに!
陽和はムッとした気分のまま、雨宮の着替えを取りに行く。
言われたとおり、右奥のドアを開けて、口をあんぐり開けた。
そこには服、服、服。
スーツからYシャツからネクタイ、おまけに下着らしきものまで!
乱雑に山のように積まれている。